アメリカに無事入国できたら、いつもの日常とは全く異なる日々が始まります。時差ボケも手伝って、疲労もたまりやすくなりますので、努めて休息をとるようにしましょう。私は、活動時間を主に午前中とし、午後3時頃には一度ホテルに帰って休憩することにしています。
アメリカに入国する
飛行機を降りて、最初に英語を話さなければならないのが、入国審査です。Estaの登録を済ませていれば、特に必要な書類もなく、そのまま審査を受けることになります。
入国審査では、「入国目的」と「滞在期間」を聞かれます。入国目的は "To attend a meeting and sight seeing"
と答えています。時々、meeting の詳細を聞かれますので、"anesthesia conference" と答えます。滞在期間は、"for
6 days" とか言っておけばいいと思います。
その後、両手の指紋と顔写真を撮られて終了です。全部で3~5分ぐらいかかります。
入国審査を通過すると、次は税関です。飛行機の中で記載しておいた、申告書類を手渡せば、そのままスルーできます。
最近は入国審査も電子化されており、タッチパネル式の端末で質問に答えることもあります。言語を選ぶことができるのでこちらの方が気が楽です。パスポートを器械に読み込ませ、顔写真と指紋を採られます。その後、レシートのようなものが出てくるので、それを持って入国審査に向かいます。
ホテルにチェックインする
アメリカに無事、入国できたら滞在先となるホテルに向かいます。
空港からは、タクシーや空港シャトルバンなどを利用して移動しますが、どちらもチップが必用で慣れない日本人には面倒くさく感じます。そこで、私は公共交通機関(鉄道や地下鉄)の駅に近いホテルを選ぶようにしています。しかし、サンディエゴ、ニューオリンズ、オーランドには便利な公共交通機関がありません。そこで利用するのが、ウーバーやリフトといったライドシェアサービスです。一度使って便利さを実感するとタクシーを使う気がなくなります。
ホテルに着いたらチェックインします。IDの提示を求められますので、パスポートを見せます。また、予約の際に使用したクレジットカードの提示も求められます。クレジットカードは自分で磁器コードをスライドしてリーダーに読み込ませます。(おそらくスキミングしていないことをみせるためです。)ICチップが付いているカードであれば、カードを挿入して情報を読み込ませます。
「あなたのカードにはチップが付いているか?」と聞かれたのを「チップ(お金)を要求された?」と勘違いして苦笑いした経験があります。余談ですが・・・。
チェックインが完了し、部屋のカギ(カードキーが多い)を受け取ったら、部屋に向かいます。その時、ポーターサービスが必用か聞かれることがありますが、これもチップが必用で面倒なので、いつも断っています。自分で荷物を運べばいいだけのことです。
部屋についたら、とりあえず水回りをチェックしましょう。トイレが流れないとか、逆にずっと水が流れているなどのトラブルはよくあります。
問題なければ、旅の疲れをとるために休みましょう。
日常品の買い出し
一休みしたら日常品の買い出しに行きましょう。エコバッグを持って行くのを忘れないようにしましょう。まず必用なのはミネラルウォーターです。水道の水も飲めますが、ミネラルウォーターを買っておいた方が安全です。
その他、小腹が減った時のお菓子や、朝ご飯代わりのパンなども買っておきます。
どこで、買うかですが、私はいつも、「CVS」 という薬局を利用しています。薬局ですが、24時間営業のコンビニみたいなところです。日常品が安く、必用なものは、おみやげも含めて大抵のものはそろっています。
セルフレジがあり、自分でバーコードを読み込ませて精算します。現金が使えるところもありますが、基本的にはクレジットカードで支払います。その方が、細かいコインのおつりがでなくて便利です。
現地での食事
海外で何が大変かといって、食事をとることが最も大変だと思っています。レストランに入ると、これまたチップが必用で、また場合によってはドレスコードがあったりもします。予約しないと入れないレストランもあります。
先ほどの、CSV にサンドウィッチなども売っていますので、それで済ませるという手もあります。ただ、日本のように「暖めますか?」なんてことは決してありませんし、ホテルに電子レンジがあるところも、ほとんどありません(以前に泊まったニューヨークのホテルにはなぜかあった)。
そこでお勧めは、フードコートの利用です。大きなショッピングセンターや駅には、大抵フードコートがありますので、そこで食事を済ませます。いろいろな料理がありますので選ぶ楽しみもあります。セルフサービスですのでチップも必用ありません。注文すると"for
here to go" と聞かれますので、ホテルでゆっくり食べたい時は、"to go" と言いましょう。
アルコールが飲めるところもありますが、IDの提示を求められますのでパスポートを持って行くようにしましょう。
ちゃんとしたレストランで食事をしたいときは、あらかじめネットで調べた上で、予約しておくことをおすすめします。予約はネット経由で行います。私はいつも、Open Tableというサイトを利用しています。とくに、4~6人以上のグループで食事に行く場合は、予約しておかないと入れないこともありますのでご注意ください。
発表の練習
うまく発表するには練習あるのみです。発表時間は決まっていませんがおよそ6分程度が無難です。それにあわせた発表原稿をあらかじめ作っておくことをお勧めします。私は、いつも発表原稿を丸暗記しています。それでも、本番ではスカッと抜けてしまうことがしばしばです。
あと、予測される質問の答えを準備しておきましょう。よくある質問が、"Were there any clinical changes from the result of this study?" とか、"Are you planning next study?" です。これらの質問は、どんな研究でも共通していますので、答えを準備しておいて損はないでしょう。
学会場に向かう
学会場には、学会が出しているシャトルバスで向かうのが便利です。学会を通してホテルを予約した場合、シャトルバスの発着に関する資料をチェックイン時にもらえます。泊まっているホテルか、その近くのホテルからシャトルバスに乗ることになります。
泊まっているホテルが学会場に近い場合は歩いても行けます。ただ、地図で見た距離より、実際に歩いてみるとかなり遠いということが、よくあります。アメリカは広いということです。
参加登録を完了する
学会場についたら参加登録を完了しましょう。
やり方はとても簡単で、事前登録した際に送られてきたバーコードを機械に読ませるだけです。すると、参加証やらなんやらが、横のプリンターから出てきます。近くにストラップがありますので、そこに入れて首からかけて終わりです。
もちろん、受付の人がいるところでも登録はできますが、英語で話をしなければなりませんし、また長蛇の列ができていることが多いです。
プリントアウトされたものに、学会バッグの引換券が入っていますので、学会バッグに引き替えてもらいましょう。なかに分厚い抄録やら、広告が入っており、かなりの重量でかさばりますが、ASA参加記念としてもらっておきましょう。
あと、会場にはASAのロゴが入った白衣やら、帽子、ポロシャツなんかも売っています。自分へのおみやげにいいかもしれません。私も白衣を2着持っています。
あと、フリースも買いました。寒いオペ室では必需品です。
- 参加登録の完了方法
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Already registered express badge pick up のブースに行く。
ノートPCの横にある、バーコードリーダで、持ってきたバーコードを読み込ませる。
登録内容をノートPCで確認すると、その横のプリンターから参加証などがプリントアウトされる。
プリントアウトされたバッジ。折りたたんでフォルダーに入れる。
2013年の学会カバン。サンフランシスコの街中で時々見かけた。
発表する
さあ、発表です。発表会場には15分ぐらい前に着くようにしましょう。緊張するので、ミネラルウォーターを忘れずに持って行きましょう。
ポスター発表はすべてe-poster で行われます。昔は日本から印刷したポスターを持って行き、自分で自分の場所を見つけて貼り、そして決められた時間(4時間ぐらい)ずっと、ポスターの前に立っていなければならなかったのですが、今は発表時間を含めた30分程度の拘束で済みます。
発表時間は6分程度で、質問を含めて10分程度ですが決められた時間はありません。なるべく原稿を見ることなく発表しましょう。英語は無理に流暢に話す必用はありません。なんとか伝わる程度でいいと思います。流暢に話して、「こいつは英語が話せる」と思われると、遠慮なく、聞き取れないような早口で質問されたりしますからね。
- Scientific Abstractの発表
- ここには、2015年の発表風景を載せていますが、ここ最近はこの方式で変化がありません。
2015年のASAへのでは、広い機器展示会場の一角にe-poster会場が作られていた。e-poster会場は、開催地によって異なるため、発表までに会場を下見しておく。
A~Eのエリアがあり、それぞれに5面ずつ液晶モニターがある。さらに、発表用のDisccusion monitorがある。
ポスターは時間になると自動的に切り替わり、30分間表示される。
発表時間以外は、このモニターの前で質問に答える。
モデレーターがDisccusion monitorを操作して発表者用のポスターを表示させる。この前で発表を行う。
発表本番。噛み噛みでもいいので、なんとか最後まで発表を完遂する。
発表後には、自分のポスターの前での記念写真をお忘れなく。
- Medically Challenging Caseでの発表
- ここには、2018年の発表風景を載せていますが、大きく変化していないと思います。
2018年の Medically Challenging Cases の場所は、e-Abstracts(通常の研究発表)会場の横にあった。ただし、開催地によって異なることもあるため、発表までに会場を下見しておく。
自分のポスターが表示されるモニターを調べておき、指定された時間まで、近くで待機しておく。
ポスターは指定された時間になると自動的に10分間表示される。その間に、発表と質疑応答を行う。
10分過ぎると発表の途中でも次のポスターに切り替わってしまうので注意。
自由時間の使い方
発表が終わったら自由時間です。Refresher course にでるのもよし。他の人の発表を聞くのもよし。観光に出かけるのもよし。日常とは違う時間を有意義に過ごしてください。
各開催地での、私の過ごし方は「ASA旅行記」をご覧ください。